喫茶店と日常

喫茶店とジャズと食べることが大好きな人間のちょっとしたつぶやき。

満月とジャズと、痒み

 

NikonZ50 ISO100 f10 1/200s

13年ぶりのスーパーブルームーンを見に、深夜0時、寝巻きのまま家を抜け出した。

「今日の月は綺麗だ」と云う投稿をTwitterで見かけ、なんとか家の中から見えないものかとあらゆる部屋の窓から空を見上げるも、見えず。もうこのまま寝てしまおうかと布団に入り直した。

でも、この機会を逃したら次のスーパーブルームーンは2029年の3月30日、約6年後らしい。そう思うとなんだか居てもたってもいられず、外へ出た。

夜中に外に出たって怒られるような年齢じゃないのに、悪いことをしているような気持ちになる。小学校からの帰り道、通学路ではない道を探検した時のえも言われぬドキドキとした気持ちを思い出した。

扉を開けると、想像していたよりもひんやりと湿った空気、かすかに鈴虫の声。長い夏の終わりを感じる。

非日常だからこそ、ジャズが聴きたくなる。こんな夜にはやっぱり「Chet Baker Songs」をお供に。

見上げると、爛々と佇む満月。街灯に負けじと光を放っていた。iPhoneのカメラで写真を撮ってみるけど、あんまりうまくいかない。

そんな時のために一眼を買ったんじゃないか!と急いでカメラを取りに戻った。50-250mmの望遠レンズを取り付け、ふたたび月下へ。

満月が綺麗に映るよう調整し、ファインダーを覗き込むと、そこには美があった。

「I get along without you very well」とChet Bakerが唄う。

最近「あれをしなきゃ、これをしなきゃ」と焦って息苦しくなるばかりで擦り減っていたけれど、衝動に身を任せてみたら心が満たされた気がする。

カメラをおいて、月を見上げる。

コンクリートの上にそのまま座ったりなんかして、暫くぼーっとしていた。

ふと左足に違和感を覚えた。なんか、痒い。ハーフパンツを履き露出した膝下は、3箇所くらい蚊に刺されていた。本当はもっと外に居て、なんなら本棚から引っ張り出してきた小説を読みながら月見をしたかったのだけれど、痒みに負け帰宅。即ウナを塗り、今こうして文を書いている。

「2029年3月30日のわたし、2023年8月31日、いや、9月1日のスーパーブルームーンを覚えていますか。」

 

p.s.

結局「スーパーブルームーン」とはなんぞや、と調べたら“一年で月が最も地球に接近し、普段より明るく輝いて見える「スーパームーン」”と“ひと月に2回目の満月「ブルームーン”が重なったことを指すそうだ(NHK NEWS WEB参照)