(本記事は2026/04/08に別名義のnoteへ投稿した記事になります。)

劇場公開を心待ちにしていた「パリに咲くエトワール」。仕事終わりに映画館に立ち寄り本作を観た。
自分の人生をまるごと肯定され、そしてさらに未来を明るく思わせてくれるエールをくれた作品だった。胸が打ち震えずっと涙を流し続けていた。上映前にハンカチを手元に用意するのを忘れ、とめどなく流れる涙を袖口でぬぐい続けていた。スクリーンから外に出た後も余韻が抜けず、人もまばらになったロビーのベンチで一人思い出し泣きを続けていた。数十分は立ち上がることができなかった。
こんなに泣けたのは映画「BLUE GIANT」を鑑賞したとき以来だった。
とりあえず言いたいことは、
フランスが好きな人、バレエが好きな人、芸術が好きな人、音楽が好きな人、ガールミーツガールが好きな人、ボーイミーツガールが好きな人、未来に希望の持てない人、諦めきれない夢や志を心に移めている人、犬猫が好きな人、「魔女の宅急便」みたいな雰囲気が好きな人、全員観て!!!!!!!!!!!!!!
絶対に損はさせません。
なにがここまで私の心を揺さぶったのか。
それは、圧倒的にリアルな「バレエの描写」と「パリの街の描写」、そしてフジコと千鶴の一生懸命な生き様だ。
まず、作品の描写のクオリティの高さにとにかく感動した。
公開前、バレエ用品店のチャコットに本作のポスターが貼られていたことからも作品の本気度が伝わっていたが、まさかこれほどとは思わなかった。作品に出てくるリラの精、スワニルダ第三幕、金平糖の精など、どのヴァリエーションも私の知る振り付けがそっくりそのままアニメーションとして描かれていた。ポアントの繊細な動きから腕の形まであまりにもそのままで、観ている間自分の体も一緒に動きそうになっていた。
しかも千鶴にリラの精のヴァリエーションを踊らせるのが良すぎる。号泣ポイントの1つ目がここだ。
リラの精は「眠れる森の美女」に出てくるキャラクターで、悪の妖精カラボスがオーロラにかけた呪いを祝福に変える強く優しい妖精だ。妖精の浮世離れした雰囲気、気品と強さが千鶴のキャラクター性にピッタリだ。
そしてこのヴァリエーションを披露するシーンを境に、フジコと千鶴を取り巻く環境に少しずつ翳りが見えてくる。しかしカラボスがかけた死の呪いはリラの精によって打ち砕かれたように、戦争の勃発やパリで生きることの難しさが二人を試すものの、困難を乗り越えた先に輝かしい未来が待っていることを予感させる素晴らしいチョイスだと感じた。
また、スワニルダ第三幕のヴァリエーションが作中に登場したことにも個人的に運命を感じていた。
私がバレエを習っていた頃、中学受験を機に辞める最後に取り組んだヴァリエーションがこの踊りだった。とりたててバレエの才能があったわけでもなく、はじめは楽しかったバレエも逃げるように辞めてしまったほろ苦さの方が思い出に残っていた。でも本作でストーリー上重要な位置にこの踊りが出てきて、千鶴により近い感覚になって鑑賞することができた。それで言うとリラの精のヴァリエーションは同い年だけど私よりもバレエが上手で手足もスラっと長く才能に溢れた子がもらっていた踊りだったなというのも思い出した。
幼少期の大部分を占めたバレエの思い出が、「パリに咲くエトワール」をきっかけにまるごと昇華された気分だった。バレエ作品も作品内に出てくる踊りも無数にある中で、自分の人生で出会った思い出深いものが選ばれていることがすごく嬉しかったし、「バレエをやっていて良かった」と心から思えた。
また、パリの街の描写にもとてつもなく感動した。二回ほどパリに旅行へ行ったことがある程度でも「あ!これってあの辺りだな」とわかるほどそっくりな風景、フジコと一緒にパリを駆け巡った気分だった。何より最後のガルニエ宮の描写は凄まじかった。オペラ座ツアーには行けておらず次こそ行きたいな〜と思っていたけれど、本作で満足してしまうほどには建物内部の描写が細かくリアルだった。あと、実際のパリオペラ座近辺はいかにも現代な巨大広告がひしめきあっていたので、本作でみた景色がまさに自分が思い描いていたオペラ座の姿だった。そういう体験ができるのはアニメーション作品ならではだなと感じる。
フジコと千鶴が夢を追いかけてパリで奮闘する姿には多くの人が心が揺さぶられていることだろう。
千鶴がどんどんと夢を実現していく姿に感動すると同時に、思うように動けないフジコの姿にしんどさも感じた。フジコは千鶴やルスランをこんなにも励まし応援しているのに、(と同時にぐんぐん進んでいってしまう千鶴にネガティブな想いも抱いてしまうフジコがあまりにも等身大の女の子だった)フジコ自身の画家になるという夢には埃が積もっていく。
題名の「エトワール」とは、パリ・オペラ座バレエ団のプリンシパルを意味する言葉で、もしかしてこの題名は千鶴のためにつけられたものなのではないかと途中感じた。
しかし物語のラスト、自分を取り戻したフジコの本来の輝き、絵の才能、エンドロールでの演出に、「やはり一番星はフジコだ」と思わされた。
オペラ座に輝くエトワール(にみえる)千鶴、周りの人々の心を照らし続けた一番星のフジコ、二人を表す「パリに咲くエトワール」という題名に「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜最高〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!」とジタバタしながら涙を流していた。
人生ベスト映画になりました。上映が続くうちにもう一回観に行かなくては。
もっと色々語りたいことはあるのだけれど、ひとまずこのくらいにして。
少しでも「パリに咲くエトワール」が多くの人に届きますように!